私は、年に2回、自分を見つめる時間を大切にしています。その静かな時間を過ごすために、私は身延山を訪れています。山本坊という宿坊にいつもお世話になっています。今回は19日(木)から21日(土)までの2泊3日の旅です。このブログは2日目の夕方に部屋で書いています。
2日目の朝、5時半から始まる身延山久遠寺の朝のお勤めに参加するため、4時に起床し宿坊を出発しました。早朝の三門はとても荘厳な雰囲気に包まれています。三門をくぐると、菩提梯(ぼだいてい)へと続く道が広がります。菩提梯は境内までの高低差104mもある287階の階段です。菩提梯には、悟り(さとり)に至る梯(きざはし)という意味があります。まだ暗いので、菩提悌の頂上は見えません。
毎回、この本堂までの階段を登ることを目標にしています。今回は、ぎっくり腰で歩けない時期があり、脚力が落ちていたので、登れないと思いましたが、頑張って挑戦しました。真っ暗な杉並木の中の石段を一歩一歩上り、287段を登りきると、先には、明かりのついた本堂が見えてきます。この階段を登る経験は、いつも人生のように感じられます。楽しい時も苦しい時もありますが、ひたすら本堂を目指して登るように、人生も一歩一歩歩んでいかなければならないと思います。人生終わるときもこれと同じように、自分の人生を精一杯生ききったと思えるように過ごしたいといつも思います。
本堂から空を見上げると、まるで白蛇と龍のような形をした雲が目の前に現れました。あまりにも荘厳な雰囲気に圧倒され、しばらくその光景を眺めていました。まるで白蛇に守られているような不思議な感覚に包まれました。
お勤めはお坊さんと一緒にお経を唱えます。始めて行ったときは、よくこんな長いお経を唱えられるなあと思いました。しかし、お経は暗記するものではなくて、毎日毎日唱えていると自然に自分のものになります。何でも良いのですが、ひたすら何かを唱えていると他のことを考えずに頭の中を無にできます。この余計なことを考えないということが大切だと思います。本堂でのお勤めを終えた頃には、外はすっかり明るくなっていました。暗闇の中で見た景色とは全く異なる雰囲気が広がっていました。明るい光の中で見ると、本堂への階段がいかに急な傾斜であったかがよくわかります。また一歩一歩この階段を下っていきました。お勤めを終えて、心がすがすがしい気分になりました。
宿坊に戻ってからの朝食は格別でした。普段は何気なく食べている食事ですが、朝のお勤めを終えた後の食事は本当に特別な味わいがありました。
この2泊3日の旅を通じて、自分自身を見つめ直す貴重な時間を過ごしています。半年に一度の身延山での体験は、日常を離れ、心を静める素晴らしい機会となっています。普段、喧騒の中で忙しいからこそ、こうした時間を持つことは大切だと思います。
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