石段を一歩一歩登るように
一瞬一瞬を一生懸命に生きる
9月22日から24日の3日間で身延山久遠寺に行ってきました。今回の参詣の一番の目的は、久遠寺の「朝のお勤め」に参加するために「菩提梯」と呼ばれる石段を登ることです。
朝のお勤めは5時半から始まるために、4時過ぎには宿坊を出ます。
久遠寺の三門をくぐると石畳の先に壁のような石段が現れます。この石段は、287段、走行距離は350メートル、標高差は100メートルです。途中踊り場が7か所ありますが、「南無妙法蓮華経」のお題目の7字に由来されているそうです。
一日目は、前日、停電があるくらいの雷がなり大雨だったせいか、石段も手すりも濡れていました。この足元が悪い中、一歩一歩、登っていきました。
日頃の運動不足で、心臓がバクバクといい、途中で本当に登りきることが出来るのかと思いました。しかし、引き返すことは、登ることより困難です。
ひたすら登るしかありません。
まさに人生のようだと思いました。この世に生を受けた限りは、どんなに辛いことがあっても、死を迎えるまで生ききるしかありません。
最後の一段をのぼると、そこには静まり返った境内に明るく浮かび上がる本堂が見えました。
(菩提梯をあがったところにある本堂)
石段を登り切ったものだけが見える景色です。一生懸命人生を生ききれば、死ぬときにこのような景色が見えるのではないかと思いました。
二日目は、前日登るのが大変だったこともあり、朝のお勤めに行くのはやめようかと思いました。「もう1回登ったんだからじゅうぶんだろう」と、もう一人の自分から、ささやかれているようでした。しかし、決めたことでもあったので、思い切って行きました。
いざ登ってみると、石段も手すりも乾いていたことや、前日に登ってペース配分がわかっていたため登りやすかったです。
途中、踊り場で見た、スギ林の間から輝く、月は本当に美しかったです。誰もいない石段で、月光に自分が照らされて、不思議な感覚でした。まるで、天が自分を見守ってくれているといった感じがしました。
(菩提梯をあがったところにある五重塔と月)
この二日間の「菩提梯」を登った経験は、死ぬまで忘れることはないと思います。
「石段を一歩一歩登るように、一瞬一瞬を一生懸命に生きる」ことが大切だということを、改めて再認識しました。
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